2001.11.5号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

山の牧場

(by いくちん)


ホルスタインは、出生してから親牛になって牛乳を生産するまでに生まれた牧場を離れ、違う環境で生活する事があります。私の住んでいる町では、牧草が青々と茂る5月末になると、生後1〜2才ぐらいの育成牛・初任牛を町営牧場に放します。豊富な草と広大な大地に、その大きな腰を下ろすのです。

町営牧場には、一般牧場と受精牧場があります。一般牧場はめったにヒトの出入りはありませんが、受精牧場とは、牧場にいる間に発情が来たら受精し、時期がきたら妊娠鑑定するので、毎日ヒトが監視しに上がります。受精時期を逃すと、一周期20日間を無駄に過ごす事になるので、ここの管理人はとても重要な役割を持っています。

町営牧場に私達蓄主が上がるのは、期間内に数回。入牧・下牧の時はもちろん、期間の途中で出産の予定がある牛は下牧日以外でも連れて帰ります。その他、牛の消毒や、触ると痛いアザミ堀などがあります。町営牧場は、畑作物の作れないような山の斜面を利用しています。入り口までは車両で入る事が出来ますが、それより先は徒歩で登ります。目的の牛が山の頂付近に居る時は、それはもう悲惨です。牛を追って下まで下ろすのですから、ヒトは牛より更に上まで登らなくてはなりません。そのため牧場に登った日は足がガクガクです。

秋、紅葉の頃になると、山の牧草も少なくなり寒さが厳しくなります。根雪を前に下牧する頃にはコロコロと肥えた牛に会えるのです。若い牛は環境が変わると、その空間に慣れるまで数日間はよく鳴きます。夏の間ガランと開いていた育成舎に「mho〜mho〜」という鳴き声が響き、バタバタと走り回る音と活気が戻ります。そして初任牛はこれから出産し女盛り(?)を迎えるのです。





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