2001.10.22号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

食べたものは・・

(by いくちん)


牛はヒトと同じく哺乳類ですが、その体のしくみはずいぶん違います。体の大きさをはじめ体の構造や食事の量。色々な部分で規模がデカイ!まぁ、あれほど大きな体を維持するのですから、それなりの機能が必要になるのは当然の事ですよね。今回は、牛の体の秘密をお教えしましょう。

「食べてすぐ寝たら牛になるよ」なんて事を言う人がいますが、まさにその通り。牛って、食べているか寝ているかのどちらか。立ってる時も座ってる時も歩きながらでも・・常に口を動かしているでしょう。‘口をモグモグ’という行為は、反芻(はんすう)と言って、一度胃に入った物を口に戻して噛む事によって唾液を出します。唾液の分泌により消化を助ける働きがあります。ただ無意味に‘口をモグモグ’しているわけではないのです。

承知の方もいると思いますが、牛は4つの胃を持ち合わせています。牛が食べる大量の餌は、まず第一胃(ルーメン)に入ります。ここは4つの胃の中で一番大きく、食べた物を全て納めてしまいます。消化機能がなく、先に述べた反芻によって消化を助けます。ある程度、噛み砕かれた物は第二胃、第三胃を通ります。これはヒトでいう『腸』にあたいします。ここにも消化機能がなく、その後、第四胃に達して初めて胃液を分泌するのです。第四胃は、全ての生き物が持つ本当の『胃』です。第四胃の形が変形してしまう“第四胃変異”と言う病気になると、食欲はマイナス、反芻もしない。牛にとって不調な状態に陥ります。

私達は、牛の体の事情を良く理解し、体調不良にいち早く気付く事が大切なのですが、四六時中観察しているわけにもいきません。時には下痢をしていたり、時には唾液をダラダラ垂らしていたり、給餌の時も起き上がらず寝ている牛もいます。今回の“狂牛病”のように、ハッキリした症状が見られず、末期になってから、しかも検査によって感染が発見される事もあるのです。食べる事が仕事のような牛にとって、それを食べた事によって感染する病気があるなんて、全く不都合な話です。このように重大な病気の場合は、適切な検査を受けれる環境の最適化が必要だと思います。全国の屠場で一斉に検査が開始されました。出だしは決して好調とは言えませんが、行政が試みた最初の動きとして、今後の対応に期待したいと思っています。




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