2001.7.30号 07:00配信
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大草原からのぷちメッセージ

時間の使い方

(by いくちん)


卒業後、就職は胆振管内の小学校。職業柄、勤務時間がハッキリ決まっていない。放課後、家庭からの要望に対応したり、休日の登校も多かった。つまり、自分の『時間』が少ない職業だった。気ままな一人暮らしをしていた私は、わずかな『時間』を誰に縛られる事なく、ダラダラと過ごしていた。

結婚・出産してからというもの、『時は目に見えないもの』という意味を始めて理解したように思う。決して、停止する事はなく、常に時を刻む。時と共に成長し続ける娘の成長が嬉しく、「時よ、早く流れて」と願ってみた事もあった。また、幸せな家族の時間に浸ろうと、「時よ、止まれ」と願わずにもいられなかった。

今の生活は、相手が“牛”なだけに、甚だのんびりしているように思われがちだが、想像のように、スローモーションではない。牛舎の仕事・畑の仕事・母の仕事。本来なら、1分1秒を無駄に出来ない。(・・・だろうが。)私は、どちらかというと1分あったら立ち止まり、2分あったらボーッとしていたい人間なのです。「牛ちゃんだって、走ると速い」1分もあったら、どこまででも逃げてしまう。私がボーッとしている間に、『時間』は、たちまちにして流れていく。『生命』を預かる私達の職業に、『時間』の経過は大きく関わり、『生きる』という力に、『時間』は必要不可欠な要素です。この職業に就いて、『時間』の貴重さを強く感じるのです。

どんな職業の人でも、老いていても幼くても、そしてまた、裕福な人でも質素な人でも『時間』だけは、平等に在る。最低限の睡眠時間と数分の食事時間を除いた他の自分に与えられた『時間』を、いかに使うか。とても重要な事なのに、意識しないと忘れてしまう自分なりの『時間』の使い方。以前は“牛”にばかり、『時間』を費やして、自分の『時間』がないと嘆いていた頃もある。今では、“牛”に自分の『時間』を託し、人生に一つ、何か得るものがあるなら、それはそれで良いかなぁっと思えるようになった。喜びや辛さも今の生活の中に確かに刻まれている。





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