2006.5.17号 20:00配信


平成18年第3回湧別町議会臨時会

5月16日(火)9:30〜12:00 by Tany


開会前・・・・
一週前に議会事務局に電話する。

05/16日に臨時会が、その終了後、全員協議会が開催されるとわかった。
臨時会の議題はまだわからないという。前回各方面にお願いしておいた、議案書を町立図書館であらかじめ閲覧することは今回も不可能なようだ。議題が分からないのに、議案書が図書館で公開されるはずもない。またしても、なにを討議するか分からない会議の傍聴となる。われながら、ご苦労様なことだ!

「議会を住民の手に!」言うは安く、実現には遥かな距離がある。
としても、一歩ずつ進むほかにうまい手立てはない! 悲しき現実!

そこで、9:30開会を目指して、8:30に町役場庁舎3Fにある議事堂、傍聴者ロビーに出かける。本日の議案書がテーブルに並んでいた。無人のロビーで早速ぺージをめくる。

本日の議事日程は次のとおり。

順 議事名/提案者

1.会議録署名議員の指名/議長
2.会期の決定/議長
3.行政報告/町長
4.教育行政報告/教育長
5.提出議案要旨説明/町長
6.承認第1号 専決処分の承認を求めることについて/町長
7.議案第1号 平成8年度湧別町一般会計補正予算について/町長
8.議案第2号 平成18年度湧別町簡易水道事業特別会計補正予算について/町長
9.議案第3号 町税条例の一部改正条例について/町長
10.同意第1号 固定資産評価員の選任について/町長

以上から何が本日の問題なのかお分かりいただけるでしょうか?
1〜5までは、きまった議事次第!
さて、6はなにか緊急事態が発生して、町長が専決処分を行ったらしい。その承認を求めている。資料中の予算補正と合わせて考えると、予算を使ったらしい。それで、一般会計も補正するのだ。いったい何が発生したのだろう? 興味津々!

はて?8はいったいなんだろうか?水道・下水関係で何事かが起こったのだ。3月に当初予算を決めたばかりなのに、何事発生か? これまた、興味津々!

9は身近な問題! 町税条例を変更するらしい。きっと値上げだ!三位一体改革の中で、国は次第に地方を締め付けている。その余波がいよいよ本格的にわが町にもやってきたのだ。さぞかし、白熱した議論が展開されるのだろうなぁ・・・

46ぺージに及ぶ「議案書」が作成、展示されている。その第2ぺージが承認第1号の本文だ。そこには次のように書いてある。

専 決 処 分 書

 平成18年度湧別町一般会計補正予算(第1号)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第179条第1頑の規定により、別紙のとおり専決処分する。

平成18年4月22日

紋別郡湧別町長 奥 谷  公 敏

別紙は第3ぺージにある。その内容は次のとおり。

平成18年度湧別町一般会計補正予算について
 平成18年度湧別町一般会計補正予算(第1号)は、次に定めるところによる。
(歳入歳出予算の補正)
第1条 歳入歳出予算の総額 3,611,000 千円に歳入歳出それぞれ 291千円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ 3,611,291千円とする。

2 歳入歳出予算の補正の款項の区分及び当該区分ごとの金額並びに補正後の歳入歳出予算の金額は、『第1表歳入歳出予算補正』による。

ウーン、歳入歳出がそれぞれ29万1千円増加したらしい。「議案書」の4ぺージ、5ぺージに示してある表によると、歳入は、「9.地方交付税」で29万1千円増加、歳出では「9.消防費」が29万1千円増加している。さらに、「承認第1号別冊」(8ぺージ)があって、その最後(第6ぺージ)の表に、「(1)災害対策に要する経費 291千円」とありその下に「機械借上げ料」とある。なんとなく分かってきた。何か災害があって民間から機械を借り上げたのだ。ここでは、その賃借料29万1千円の支出承認を求めている。それにしても歳入の「9.地方交付税」は29万1千円もどうやって増加したのだろうか?
以上、当初予算にない臨時出費は、町長が専決で支出し、後で、議会の承認を求めるものなのだ。面倒なことになっている。案件だけで13ぺージ分の印刷物が必要。これを起案し、上司の承認を得る、最後に印刷するような仕事を職員の方々は毎日やっているわけだ。
ウーン、なんとか簡素化できないのだろうか? ムラムラと疑問が湧く。

ところが7議案第1号で分からなくなった。

6の場合と同様に見ていくと、消防費の29万1千円増額をすでに織り込んだ一般会計の歳出・歳入が、113万9千円ほど補正されている。やはり、歳入は地方交付税がその分増額し、同額分「他会計繰出金」として歳出されているのだ。
8の「簡易水道事業特別会計補正予算」の方を見ると、113万9千円繰り入れて、「総務管理費」→「公課費」→「消費税」として同額歳出するらしい。ウーン! 何か消費税に問題があるらしい。7と8が密接な関係のある議題らしい。
消費税に問題が発生して「簡易水道事業」の方で予算が不足、一般会計から繰り入れたのだ。ここまでが、8。そこで、一般会計では「地方交付税」による歳入を増額して、特別会計の方へ歳出として繰り出したのだ。これが7!
事態は8→7と進展したのだが、形式的には7→8と審議するらしい。面倒なものだ!

9「町税条例の改正」の資料は、実に、実に膨大だ。
「議案書」の中の大部分である32ぺージを占め、別冊「説明資料」の中に81ぺージ、合計113ぺージの書類がある。とても1時間やそこらで読めるはずはない。議会開会前まではあと15分。読むのをあきらめた。6、7、8の解読(?)に意外と時間がかかった。

議員の皆さんはあらかじめ早い時期にこれらの資料を受け取り、さらには町職員から説明を受けているのであろうか? そのために委員会もあるから、すっかり理解して審議に臨むのだろう!しかし、われら住民は直前になって113ぺージを眼にする。町税は私たちの手の届かないところできまっていく実態がマザマザと浮かび上がってくる。これって…… 民主主義なの?われらの代表、町会議員と相談する暇もなく、私たちの支払う町税が定められるのだ! これって、問題ではないか?

私たちの地方自治、その現実を目の前にして、113ぺージの資料をぼうぜんと眺めていると、傍聴者がもう一人現れた。それに新聞記者が1名。合計3名の傍聴人は9:30に着席した。
役場職員は12名ほど着席している。9:30を過ぎる。職員の方々は一様に全員が黙然と目をつぶって着席している。廊下を隔てた議員控室の方から、拍手の音が再三聞こえてくる。
何をしているのか?

やがて、9:42分ころ議員が入場する。最後に議長席後方の扉から、議会事務局長と議長が現れ、会議が始まった。なぜ、定刻から遅れたのか、説明は一切なかった。議員という方々は実に無神経だ。傍聴者も入れて、15〜6名の人間がジーッ待っていたのにである。
ちなみに出席議員は議長も含めて13名、全員出席(現在1名欠員中)。

1.会議録署名議員の指名
運営規則120条によって、羽田、石垣議員が会議録署名議員になる。

2.会期の決定
議運の提案で本日一日が会期となる。

3.行政報告(町長)
◎東地区の谷口正男氏から町へ100万円の寄付があった。
◎4/20〜22日にかけて芭露川・湧別川の水量が危険水域を越え、一部で溢水がありポンプを借り上げて排水し、29万円ほど借上げ料を専決で出費した。
◎8〜5/10に計呂地・川西地区で行政検査があり、無事終了した。
◎4/22〜4/23に札幌湧別会が開催され、町長・議長が出席した。出席者は52名ほどだった。

4.教育行政報告(教育長)
湧別町立図書館が江別町の江別情報図書館と並んで、4/23(読書の日)に文科省の表彰を受賞した。

5.提出議案要旨説明(町長)
承認・同意各1件、議案3件提出した旨説明あり。
檜山助役が補足するも、傍聴者としては意味不明、残念ながら話の意図がよく分からない。
ここまで、質問まったくない。

6.承認第1号 専決処分の承認を求めることについて
阿部政策室長:4/20〜22日にかけて芭露川・湧別川の水量が危険水域を越え、東6線小川さん宅前、「計呂地寿の家」脇で溢水、排水した。
深沢議員:地方自治法第179条第1項で専決処分し、第3項で議会に承認を求めることになっている。室長の説明の中にその点が明快でない部分がある。(と指摘それを室長が認めて決着。)
専決処分を承認し、合わせて一般会計の補正も異議なく承認された。

傍聴者である私が理解できなかったのは、専決処理と一般会計の補正は別々に審議されるべきではないかという点と、「地方交付税」にその歳入財源を求めた点。前者はともかく、後者はよく分からない。当初予算が不足すると、なんでも地方交付税から引き出すのであろうか? 専門の方には分かりきったことなのだろうけど、庶民には分からない。質問したかった。今度町会議員に出会ったら聞くことにしよう。

7.議案第1号 平成8年度湧別町一般会計補正予算について
阿部政策室長:一般会計から簡易水道事業特別会計へ113万9千円繰り入れると説明。消費税の納入不足額だという。
鈴木議員:理解できないから説明を。(確かに上の説明は分からなかった。)
阿部政策室長:平成16年簡易課税の上限が2億円から5千万円に下がった。そのため、本庁の水道は簡易課税でなくなった。なれないせいもあり、税務署と相談しながら納税したのだが、税額に誤りがあった。
傍聴者である筆者はよく理解できなかったが、113万9千円の繰り入れは異議なく承認された。

8.議案第2号 平成18年度湧別町簡易水道事業特別会計補正予算について
吉川建設課長: (再度、一般会計からの繰り入れによって、消費税の不足額113万9千円を納入したいと説明する。)
鈴木議員: いつ納入するのか?
吉川建設課長: 議決次第納付したい。
鈴木議員: 計算中に気がつかなかったのか?
吉川建設課長: 3/07芦別市で計算の誤りで新聞報道された。そこで、内容を精査して分かった。
石垣議員: 計算結果を税務署に相談している。誤りは相手にあるのではないか?その点努力したか?
吉川建設課長:十分な相談はしていない。誤りに気がついて再申告した。そのため、税額以外に余分にかかった費用は11万1千円ほどだ。修正命令を受けた場合は重加算税などで、被害はもっと大きくなったろう。
深沢議員: 11万円が大きい金額か小さい金額か? 今後はどうするのか?
檜山助役: あってはならない。制度の変更するさいには、何回でも足を運んで万全を期す必要がある。
深沢議員:町民からはどんどん会館使用料などを徴収する。一方ではこうした無駄なお金を出す。無駄を出さないためにどうするか、キチンと言ってほしい。
檜山助役:制度が改正されたときは関係部署に何回でも指導を受けに行く。さらには、2重チェック制度ももうけていきたい。よろしくお願いしたい。

概略、以上の質疑応答を経て、議題は異議なく了承された。

6、7両議案について傍聴者に分かった事態は、次のとおり。

消費税の簡易課税限度額が一昨年2億円から5000万円に引き下げられた。本町はそれまで簡易課税で計算して納付していた。昨年、計算方法の変更に伴って新しい計算方法で計算、納付に当たっては税務署と相談して、納付した。ところが3/07に芦別市の事件が新聞報道された。そこで、再計算したら、納付額に不足が見つかった。再申告して所定の額を納付したいと町は考えている。ただ、納付延滞料など本来の納付額に11万円ほど上乗せしなければならない。

深沢議員の言うとおり、町民サイドから見ると、決してこの金額は小さな金額ではない。
しかし、予算総額からみると、微々たる金額だ。ここに、提案者の油断があったようだ。

以上の事態を重く受け止めて、町長が「5提案要旨説明」で明快に説明していたら、議事全体の流れがもっとすっきりしていたであろう。しかも、論議が深まったに違いない。すべて明快にすっきりと理非を明らかにして説明するのが大切だ。そのためには、議会側と町側の相互信頼が必要なのではないかと感じた。

ここで、10:42〜10:55まで休憩に入る。傍聴者が1名増加していた。新聞記者と思しき人物は休憩前に帰ってしまったので、傍聴者は相変わらず3名である。

9.議案第3号 町税条例の一部改正条例について
議会終了後、総務課に立ち寄って議案書など資料一式を借り出してきた。議会開催日から1日経った現在、筆者はまだ議案書など資料総てに目を通せないでいる。それほど膨大な改正である。

にもかかわらず、審議時間1時間のうち40分近くは嘉藤住民税務課長の議案書の説明であった。それも、膨大な議案書であるから、要点のみの説明になるのはやむをえない。うまく要約されているらしい発言を聞きながら感激していた。議員各氏、職員各氏は説明にしたがってぺージをめくり、マーカーで印を付け、熱心にフォローしている。傍聴者の一人はロビーから議案書を持ち込み、ぺージをめくっていた。

筆者はなすすべもなく、ウツラウツラ、睡魔に襲われている。

それにしてもだ、先ほどまでいた新聞記者は、どうしたことか総ての議案書、別冊資料をもって、眺めていた。今朝、入手したのだろう。なんとなく違和感が湧いてくる。

短時間ではあったが、交換された質疑応答の要旨は次のとおり。

鈴木議員:住宅借入金の控除はいつから適用されるか?
嘉藤課長:すでに建てている方は平成20年から適用される。
鈴木議員:新しい課の発足に当たって、職員にどう話されているか?
嘉藤課長:「住民税務課」はお金を扱い、各種手続きを取り扱い、各種相談を受ける。
職員一同、笑顔で挨拶し、お互いに声を掛け合って仕事するように、話している。
広田議員:大変な大改正だ。住民へのPRしたい部分はどこか?
嘉藤課長:住宅・耐震保険控除など…… 広報誌などを通じて広報していきたい。
広田議員:分かりやすい形で広報してほしい。
坂東議員:町民税の所得割りの部分が一律6%になった。これをどう考えるか?

(筆者注)
【現行】
 (所得割の税率)
第34条の3 所得割は、次表に掲げる金額の区分により課税総所得金額又は課税退職所得金額を区分し、当該区分に応ずる同表に掲げる率を順次適用して計算した金額の合計額と、同表に掲げる金額の区分により課税山林所得金額の5分の1の金額を区分し、当該区分に応ずる当該率を順次適用して計算した金額の合計額に5を乗じて得た金額の合計額によって課する。

200万円以下の金額  100分の3
200万円を超える金額 100分の8
700万円を超える金額 100分の12

【改正】
 (所得割の税率)
第34条の3 所得割の額は、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に100分の6を乗じて得た金額とする。

嘉藤課長:受益者負担が明確になって望ましいのではないかと思う。また、税収が大きく景気に左右されないと考えられる。
坂東議員:その点、内部で十分に議論を尽くしたのか?
嘉藤課長:地方税法や所得税法に準拠している。
坂東議員:6%は地方税法上曲げられないのか? 地方の声をこんな場面で反映させられないのか?国できまったら、そのままではなく、湧別で独自に決める。国会だけに任せられない。その点課長、町長はいかが考えているのか?
嘉藤課長:議論しながら、地方からも発信していきたい。
町長:当面は一律6%。 町税以外の部分で各種減免措置を考えて行きたい。町税の範囲外でやっていかなければならないと思う。

以上で質問はなくなった。終了したのだ。

あっという間の出来事。町側と議会側で十分に討議・勉強が行われた結果なのだろうか? 白熱した議論展開を期待した傍聴者としては、もっと、もっと聞きたいことがたくさんあった。

たとえば、この町税改正で、いったい町の予算はどのように変化するのか。今後3年間くらいのシミュレーションを示してほしかった。それを巡って議論し、新しい町税条例をシッカリ掘り下げてほしかった。
また、近隣市町村、道内の市町村、全国の市町村の市町村税はどのように改正されているのか? とくに2001年「合併しない宣言」をし、住民基本台帳ネットから離脱して全国の注目を浴びている矢祭町では一体どうしているのだろうか? 議論を通じて、湧別町の状況を相対的に把握できたのではないかと残念だ。
さらには、改正の全体像と、嘉藤課長の指摘したポイントに対する丁寧な論議を聞きたかった!

午前だけで採決が終わるなんて? 予想もしなかった。
唖然!呆然!

異論なく議案は承認された。

10.同意第1号 固定資産評価員の選任について
嘉藤課長が退席した。お疲れなのかと思っていたら固定資産評価員に選任されるのだ。異
議なく選任。

12:00少し前、臨時会は終了した。
(以上)

【追伸】
5/16、この日午後には町議会の「全員協議会」が開催された。傍聴は認められないというのが、議会事務局の見解だ。残念ながら傍聴できない。こうした会議に限って、町の将来にとって大切な話題を討議する。
またぞろ、心中の好奇心という虫が湧いてくる。
どうすれば協議会の模様が分かるであろうか?
身辺に議員さんがお住まいの湧別町民の皆さん!!
ぜひ、何が話し合われたのか聞いてください!分かったら教えてください。






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