1999.11.7号 09:00配信


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このコーナーでは、木工芸に携わったことで気づいた、木のこと、木にかかわることを中心にお話します。
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NO.7 トドマツのヤニ

 北海道の代表的な針葉樹のひとつにトドマツがある。トドマツの主な用途は割箸や建築材。耐水性が高いことから昔は風呂桶や浴槽などにも使われていた。製材はエゾマツに比べると木目があらく色が白い。
 トドマツの灰色の幹をよく見ると小さな膨らみがいっぱいついている。その膨らみを尖った枝先でつついてみると中から水飴のようにヤニが出てくる。子どもの頃、このヤニを小枝にくっつけて水たまりに浮かべて遊んだ。小舟に見立てた小枝がヤニの拡散する力で勢い良く走った。水たまりにヤニの溶けたうすい膜が広がり陽をあびて金色、虹色に輝いていた。ヤニの膜が水たまり一面を覆うと小舟は立ち往生、それまで何度何度もヤニの膨らみをつついていた。トドマツをみると今でもつい大きな膨らみを選び意味もなくつついてしまう。流れ出る黄色く透明なヤニの中に昔を覗いている。





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