2000.4.24号 09:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「水は命だ1」

周りを下も全部雪で覆われたドームで「一番大事な物は?」と問われたら帰ってくる答えは89%の確率で「水! ウォーター! H2O!」だと思う。白い砂漠と呼称されるこの辺境の地で水源を泣きながら探し回っても、川も湖もオアシスもない。水たまりももちろんない。すべて原料としてなら無尽蔵にある雪をこれまた大事な大事な燃料をボイラーで燃やして作らなければならない。

基地内には1000リットルを貯蔵できる造水槽があって、毎日時間を決めて総員作業で屋外や、雪洞から雪を運んで放り込まなければ、たちまち渇水状態となる。
この作業は生活していく上で、最も重要と言っても過言ではなく、観測や設営部門でいくら大事な仕事をしていても、午後1時30分の水入れタイムには駆けつけなければならない。とは法律で決まっていなかったがよほどの事がない限り全員作業で雪入れ作業は正月も出発の朝もとぎれることなく一年間続いた。

1000リットルと言うと、相当大量の様に聞こえるが、家庭用のバスタブで約200リットル、それが5杯分である。炊事も洗濯も飲料もすべてひっくるめてこれだけである。当然最大のテーマは「節水・節水・節水」であった。雪は空気も大量に含んでいるので、造水槽に山のように盛り上げても、ボイラーの循環熱で溶かされて水になると当然ごっそり目減りしてしまう。大体最初の20%位に減ってしまう。雪温はー50℃以下なので、一日一回切りだと全部溶けきらず、水量はいつも造水槽の60%位であった。根が貧乏性なのか、どうしてもそれだけだと心細く、提案して最初に入れるストック分をその日の当直者と共同で、朝食後に投入して置くことにした。こうすると午後一で始まる雪入れ作業の開始時にはほぼ投入分が溶けきって、水温も上昇するため、水で満タン状態に保つことができるようになり、一安心であった。


「造水槽」


「水用の雪のストック」

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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