2001.11.19号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

白くて冷たいもの

(by いくちん)


私が生まれ育ったのは、東北地方の某県、某市。どこにでも見られる一介のサラリーマン家庭で育ちました。買い物をするなら、車で数分の所に大型スーパーマーケットがあり、スポーツをしたければ運動施設があり、芸術に思い更けたいと思えば文化ホールや映画館がある。大都市ではないものの、学生時代を過ごすには何の不自由もない環境でした。

ここ北海道と同じ雪国ではありましたが、規模が違う。初霜の朝、「見渡す限り真っ白!」なんて言ってみても、「見渡す限りって、何ヘクタール?」と聞かれたら、答えようがない。とにかく言葉の通り“見渡す限り”なのです。建物のひしめき合った所では、こんな表現は出来ませんよね。吹雪の日に、「すごい雪と風で前が見えない」っと言っても、数メートル目を瞑って歩くと建物の軒下に辿り着でしょう。ここではそういう訳にはいきません。目を瞑って一歩歩いた途端、吹き溜まりに足を取られ数分後には、人間雪だるまになってしまう。それ以前に、吹雪の日に外に出ようなんて人は、そうそう居ませんがー。自然の厳しさを体感し、改めて自然の恵みを有難く感じます。

冬本番になると、買い物に行くのも大仕事です。普段より、ちょっと多めに降った日は、トラクターで道を開けてもらい、やっとの思いで出かける事もあります。集会や研修会などでも、“天候不良のため延期”なんて事は茶飯事。学校でさえ、“雪による学校閉鎖”との連絡網が回るくらいですから。

子ども達はすっかり慣れっこになってしまい、少々の雪では動じない。天気予報をじっくり見て「今日は50%だから、帰りは向かえに来てね」っと言います。暖かい日は、下校時に雪合戦が出来るように、5本指の付いた手袋と、スウェット上下を着用して行きます。帰宅後は「ただいま〜」の声と一緒に靴をストーブの前にー。翌日、冷たい靴を履いて登校するのは嫌なのでしょうね。雪国に育つ子どもらしい行動です。

“天から降る白くて冷たいもの”を見たことのない子ども達もたくさんいるでしょう。先日、南国育ちのお嬢さんが“初雪”に感激していました。雪の恐ろしさを知っている子ども達は、雪の中が、実は暖かいという事も知っています。大人にとっては、やっかいな雪を生活の一部・遊びの一部として取り入れている子ども達。これからの季節、雪による事故に注意して、雪国でしか体験できない事をたくさん学んでほしいものです。



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