2001.7.9号 07:00配信
Home


大草原からのぷちメッセージ

ギャング・エイジの『牛』体験

(by いくちん)


ある週末の昼下がり。その日はひどく暑かった。食後のひと時、娘達とベランダに出て、歪んだ空気と雲一つない青空をボーっと眺めていた。すると、牧場の下の道、茂みの向こう、遥か遠くから、その声は聞こえた。「かりんちゃ〜ん!」娘を呼ぶ声。ベランダの手すりから、身を乗り出して声のした方を見渡す娘達。しばらく待つと2台の自転車とそれをこぐ小さな影がー。次第に影は形になりー、2人の男児が現れた。「あーっ!」っと叫ぶやいなや、バタバタと階段を下り玄関から外へ飛び出す娘。同じクラスの男の子が、ジュースとおやつを自転車のカゴに入れ遊びに来たのだった。

ようやく事態を把握できた私は、町から子どもの足で30分かけて、遊びに来た小さな訪問者を歓迎した。玄関先で出迎えた私に「こんにちは、おばさん!」っという言葉に少々”ムッ”っとしたものの、その後「ねぇー牛見せて!」と言われ、得意になって、牛舎に案内した。いわゆる秀才という言葉の如く勉強もスポーツも万能な子ども達。我が娘など、スポーツでは足元にも及ばないのだが、牛舎に入った途端、その立場は逆転した。自分達より数倍大きい牛を前に、平然と傍を歩く娘と、顔が膠着したまま一歩も足を運べない子ども達。「かりんちゃん、すごーい!」という声に得意げな娘の顔を見て、何故かこちらまで顔が和む。

牛舎を出て、やっと体が解放された様子のお客様。牧場の敷地内をグルグルと行ったり来たり。片隅に置かれた全てが珍しくてならないのだ。30度近い気温の中で、牧草ロールの上を石渡のように駆け上がったり、小屋の隅に雑品を集め秘密基地を作ったり、真っ赤に熟したイチゴを頬張ったり。そんな時、ふっと思い出したように、自転車のカゴから、ぬるくなったジュースを差し出した。「ぬるくなっちゃったー」と頭を掻く姿が愛らしく、「氷入れてあげるよ」と氷を提供する事にした。家に入り一気飲み。氷が溶け冷える前にコップの底が見えていた。

その後は、話すまでもない。牧草ロールの石渡をはじめ、秘密基地の家具(?)集めなどなど・・・。彼らにとって、大げさではなく、夢のようなひと時を過ごしたのであろう。我が家の娘達にとって、『いつもの』遊びなのにー。生活や環境によって、興味・感心が違い、こういう所で個性が発揮出来たりするものだ。『子ども』というものに深さを感じ、子どもと過ごす時間がとても楽しく感じた
一日だった。



インデックスにもどる

※ご意見・ご感想は「編集長の掲示板」へお寄せください。



Home
(C) 2001webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで